フィルム基板
近年のOLED開発では、有機材料の柔軟性を活かしたフレキシブル化が注目されています。
当所では、フレキシブルOLED作製に重要な基材耐熱温度に着目し、PET基材でも適用可能な低温でのOLED作製プロセスを構築しました。

図1. フレキシブルパネル構造概要
a)はフレキシブルパネルのイメージ図。b)はフレキシブルパネルの断面形状概要
表1. プロセス温度と基材の耐熱性比較
各層 | 各種温度 |
封止材 | 室温プロセス |
有機EL | 真空蒸着 |
Bank | >200℃ (焼成プロセス) |
ITO | 室温プロセス |
バリア膜/平坦化膜 | ~100℃ |
基材 |
PET: Tg 70℃付近 PEN: Tg 120℃付近 |
フレキシブルOLEDのJVL特性とデバイス寿命
フレキシブルOLEDにおいては、静電気によるゴミ付着や基板の反りが原因となり、OLED特性を正しく評価できない場合があります。
作製プロセスを最適化することで、ガラスと同等の特性評価が可能となりました。

図2. フレキシブルOLEDのJVL特性 a)はJV特性、b)はEQE特性
シュリンクや発光ムラは確認されず、フレキシブルOLED作製プロセスが確立できました。

図3. 加速試験後のフレキシブルOLED発光像 a)はガラス基板でシュリンクや発光ムラはない。b)はフレキシブルOLEDで発光ムラが観測された。c)はフレキシブル基板でシュリンクの発生はない。
今後の展開
ハイバリア薄膜封止プロセスの確立

図4. 薄膜封止評価プラットフォーム概念図